2023年– date –
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書評
死から生還した87歳の美術家がいま想うこと 『時々、死んだふり』 横尾忠則著
【刺さる言葉が満載】 30歳になる前に、自死を演じた作品を作り、死亡通知を業界紙に掲載して、処女作品集を『遺作集』と名付けて出版し、死から出発したという現代美術家の横尾忠則。彼は昨年(2022)7月、予期しなかった急性心筋梗塞で病院に救急... -
書評
報復の連鎖を止めることはできるのか
『ぼくは君たちを憎まないことにした』 アントワーヌ・レリス著 【パリ同時多発テロで妻を失った男が記した2週間】 パレスチナのガザ地区を実効支配するイスラム組織「ハマス」が10月7日(2023年)、イスラエルに大規模な攻撃を加え、イスラエ... -
映画紹介
主役はゴジラじゃない!?
『ゴジラ-1.0(ゴジラ マイナスワン)』 2023年 主演 : 神木隆之介 監督 :山崎貴 【 すべてを失った戦後の日本にマイナスをもたらす悪魔】 第二次世界大戦末期、敷島浩一(神木隆之介)は特攻隊として出撃したが、死ぬのが怖くなり、機体が故障... -
書評
『梅雨物語』貴志祐介 梅雨が舞台のホラー作品3編
【 「俳句」「蝶」「キノコ」がモチーフ】 ホラー小説はあまり好みでないが、20年ほど前に読んだ貴志祐介著『十三番目の人格 ISOLA』と『黒い家』(日本ホラー小説大賞受賞)に関しては、“怖いが、読み出したら止まらなかった”という記憶が頭の片隅... -
映画紹介
人間とAIは愛し合えるのか
『ザ・クリエイター 創造者』 2023年 主演 : ジョン・デヴィッド・ワシントン 監督 : ギャレス・エドワーズ 21世紀の後半が舞台の本作。AIが米ロサンゼルスに核攻撃を加えたことで、AIを敵視する米国らとAIを擁護するニュー・アジアとの戦い... -
アート
正気の中の狂気
ゴヤ『黒い絵』『わが子を食べるサトゥルヌス』 ゴヤの『わが子を食べるサトゥルヌス』をはじめとする14枚の『黒い絵』シリーズを読み解いていく。王侯貴族の肖像画から市井の人々を様々な画法で描いたゴヤ。先人ベラスケスの作品や功績を意識しながら、勤... -
アート
北斎の職人としての執念
30年の年月を経て完成した葛飾北斎のThe Great Wave 葛飾北斎の代表作『神奈川沖浪裏『(かながわおきうらなみ)は日本人なら誰でも幼い頃から親しんでおり、大概の方にとっての「お馴染みの日本版画」だろう。海外では『The Great Wave』として広く知られ... -
映画紹介
静かな同調圧力の先の世界
『PLAN 75』 2022年 出演:倍賞美津子 監督:早川千絵 「75歳以上の高齢者に死を選ぶ権利を認め、支援する制度通称“PLAN75”が今回の国会で可決されました。」冒頭、このアナウンスで物語は始まるセンセーショナルな設定だ。国の未来を守るために…誰も... -
映画紹介
クリント・イーストウッド監督ベスト映画3選
ミスティック・リバー (2004年) 出演:ショーンペーン、ティムロビンソン、ケビンベーコン スタンドバイミーたちのその後 ミスティック川が流れるボストン郊外の労働者階級の街、イーストバッキンガムが舞台。幼馴染だった街に住む3人の男たちが、... -
アート
時空を超えたベラスケスの『ラス・メニ―ナス』
400年の時空が交差する神業 この時代の絵画でこれほどまで緻密に構成された事例はない。中央の幼い王女と彼女の左側でカンバスに向かうベラクレス。二人の視線は絵の外部へ注がれている。王女の背後には小さな鏡が掲げられ、そこに国王と王妃の姿が映し出...
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