書評– category –
-
書評
隈研吾が語る空間の本質
隈研吾著 『日本の建築』 【隈研吾が語る空間の本質】 言わずもがな隈研吾氏は、現代日本を代表する建築家であり、その独特な空間構成と素材使いで世界中から注目を集めている。本書「日本の建築」は、そんな隈氏が日本の建築文化の本質を探求する一冊... -
書評
1995年を歴史として捉えられる年月が経ったのか。
速水健朗著「1995年」 1995年は、地下鉄サリン事件、阪神・淡路大震災、オウム真理教事件など日本社会に大きな衝撃を与えた出来事が相次いだ年。同時代を生きた身として察するに1995年は「戦後史の転機」として捉えることができる。その意味を多角的に考... -
書評
ちょっとグロテスクで不思議な世界へいざなってくれる7編
『本の背骨が最後に残る』 斜線堂有紀著 【冒頭は、人間が本となった小国の物語】 本作は、2016年に第23回電撃小説大賞メディアワークス文庫賞を受賞してデビューした斜線堂の最新作だ。とある書評で、「作者の名前もタイトルも変わっているな... -
書評
アフガニスタンと共に生きた医師の現場記録 『天、共に在り』 中村哲著
【医療から灌漑事業へ】 日本人にとっては物理的のみならず本当に遠い山の国、アフガニスタン。ユーラシア大陸の中央に位置し、年間の降水量は日本の5~10分の1だ。昔から「民族の十字路」と呼ばれてきたように多様な民族で構成され、地縁と血縁を尊... -
書評
死から生還した87歳の美術家がいま想うこと 『時々、死んだふり』 横尾忠則著
【刺さる言葉が満載】 30歳になる前に、自死を演じた作品を作り、死亡通知を業界紙に掲載して、処女作品集を『遺作集』と名付けて出版し、死から出発したという現代美術家の横尾忠則。彼は昨年(2022)7月、予期しなかった急性心筋梗塞で病院に救急... -
書評
報復の連鎖を止めることはできるのか
『ぼくは君たちを憎まないことにした』 アントワーヌ・レリス著 【パリ同時多発テロで妻を失った男が記した2週間】 パレスチナのガザ地区を実効支配するイスラム組織「ハマス」が10月7日(2023年)、イスラエルに大規模な攻撃を加え、イスラエ... -
書評
『梅雨物語』貴志祐介 梅雨が舞台のホラー作品3編
【 「俳句」「蝶」「キノコ」がモチーフ】 ホラー小説はあまり好みでないが、20年ほど前に読んだ貴志祐介著『十三番目の人格 ISOLA』と『黒い家』(日本ホラー小説大賞受賞)に関しては、“怖いが、読み出したら止まらなかった”という記憶が頭の片隅... -
書評
半世紀をかけて露呈された不条理な会社人生
橘玲著『不条理な会社人生から自由になる方法』 このタイトルは橘玲氏の2019年3月単行本『働き方2.0vs4.0 』が2022年4月に文庫本化する際にタイトルが改題されたものだ。文庫版の刊行のタイミングは、コロナ禍が全世界を覆った時期と重なっている。単な... -
書評
『ビールの最初の一口』フィリップ・ドレルム著
何気ない日常の至福 2019年、小春日和に緩む神保町の古書店街。店頭のカゴに無造作に積まれた一冊だった。目が合ったといってよい。タイトル『ビールの最初の一口 とその他のささやかな楽しみ』。タイトルはもちろん、淡青色と薄紅色の落ち着いた感じの... -
書評
志村けんさんを追悼 2020年一周忌に
『変なおじさん』志村けん著 出典:https://www.pinterest.jp/pin/840413980451828624/ 志村けんさんが亡くなられて1年が過ぎた。昨年の訃報の際は、コロナ禍第一波の渦中だった。彼の死は、その悲しさと併せてウィルスの猛威の象徴としても連日扱われてい...
12